「大学無償化」について
低所得世帯の学生を対象に大学や短大など高等教育機関の「無償化」を図る法案が19日、参院で審議入りしました。
「高等教育無償化」法案の概要
◆低所得者に
①授業料と入学金を減免(最大96万円)
②給付型奨学金を支給「最大91万円―私立の場合)
が柱です。
年収、大学、学生の成績に対する要件です
◆年収
・年収270万円以下(住民税非課税)は全額
・300万円以下は2/3を免除
・380万円以下は1/3を免除
(両親と本人、中学生の4人家族のモデルケース)
◆大学
・実務経験のある教員による授業が単位の1割以上ある
・理事に外部人材を複数任命
・厳格な成績管理
・税務情報や就職状況などの開示
◆学生の成績
成績が下位1/4の場合は「警告」し、連続した場合は支援を打ち切る
今国会で成立すれば2020年4月から実施されます。
文科省の想定では、対象者は75万人、予算規模は7600億円/年とみています。
法案の根底には、低所得世帯の大学や短大、専門学校などへの進学率は4割程度と、全世帯の8割に比べて低く、先進国の中でも高額な学費がネックになっていることがあります。
野党が不安視する事項ですが、各大学が独自に設ける既存の授業料減免制度が中間所得層の学生にも対象にしているため、新制度が実施されると今まで受けられていた中間所得層の学生が対象外になり、負担増になるということです。
例えは文科省の調べでは、
・電気通信大学 年収714万円以下
・東京工業大学 年収470万円以下
の世帯までが対象になっています。
新制度への移行に伴って政府が支援を減らし、各大学の既存制度が縮小、廃止することになれば、中間総世帯の学生の負担が重くなります。
もう一つの懸念ですが、政府には実社会で活躍できる人材を育成する狙いがありますが、人文学系など実社会での成果がはかりにくい分野の淘汰につながる のではということです。