日別アーカイブ: 2017年4月21日
市立南高校附属中学が公立中高一貫校が開講して2012年度から取り入れた英語教育における先進的な取り組み、通称「5ラウンド方式」です。
5ラウンド方式とは、1冊の教科書を1年間に5回繰り返し、段階的に制度をあげていくスパイラル学習です。
1周目:CDで繰り返し音声を聞き、聞き取ったストーリーに合わせてピクチャーカードを並び換え、音声のみで教科書の内容を理解する。その際、単語や文法などはほとんど解説しない。
2周目:音声を聞きながら教科書の英文を追い、音と文字を一致させる。
3周目:これまで耳からインプットしてきたことを音に出す音読。CDの音声をまねて、発音やイントネーションにも気を付ける。さらに、読み取ったことを書く、ライティングにも取り組む。
4周目:聞き取った音声をもとに、教科書の英文に設けられた空欄を埋めていく「穴あきリーディング」に取り組む。
5周目:教科書のストーリーを自分の言葉で伝える「Retelling(自分の言葉でわかりやく繰り返す)」を行い、ノートに書くライティングに取り組む。
授業のスピードは速く、回を追うごとに精度を高めていき、量から質へ、「内容を理解する」インプットから「自分の言葉で表現する」アウトプットへと徐々にステップアップしていく。
新出の単語などを黒板に書きだすこともあるが、発音を中心に簡単に説明するにとどまり、文法についてはほとんど説明しないが、躓きやすいポイントについては1周目や2週目であっても文法の説明を補う。
最初から質、つまり制度を求めず、初めは音声中心でおおまかな意味理解が出来ることを目標とする。文字は正確さを伴うため、初めから書かせると苦手意識がうまれやすくなり、意欲がさがるので音声を繰り返し聞いて内容を理解するところからはじめ、段階的に制度をあげ、スピーキング、ライティングでの発信できる力をつけていく。
結果ですが、中3卒業時点で学年の85%以上が英検準2級以上を取得しています。
その教育効果の高さを理解した熊谷市(埼玉県)は、平成28年から市内の全ての公立中学校で導入に踏み切っています。
横浜市では、平成29年度に向けた「英語教育協力研究校」を2校設置しモデル校として2校が選ばれています。
最初は音声だけで取り組み、徐々に精度を上げていく方法は生徒にとってはとても取り組みやすいように思われます。最初から精度を求められると嫌になってしまうのも当然かもしれません。
一般の公立中学校での取り組みがとても注目です。先生方の熱意や生徒の学力差を乗り越えてぜひ成功させてもらいたいものです。